暮れなずむ鉄塔に腰掛け、綾瀬は手にしたストローに息を吹きかけた。夕日を受けた無数のシャボン玉が空高く登ってゆくが、僅かな風で次々に壊れてしまう。 「もろいわね」 「乙女かよ」 ズィーガーの悪態を無視し、綾瀬は西の空を見つめていた。 「まけるな……」 ただひとつ、壊れずに漂うシャボン玉を――